就職活動の際に聞かれる質問の定番のひとつに「ガクチカ」があります。
ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」のこと。
「ガクチカ」という言葉は、私が就活をした2010年頃には聞いたことがありませんでしたが、質問自体は当時から定番のものでした。
皆さんが就活をする頃まで「ガクチカ」という言葉が生き残っているかどうかはわかりませんが、面接での定番質問ではあり続けるのではないでしょうか。
ガクチカは定番の質問で、それほど難しいこと、専門的なことを聞いている訳ではありません。
それでも、いざ就活を始めるに当たって学生時代を振り返ってみると、何をPRすればいいのか迷う人が多いんですよね。
そこで今回は、就活を始める時にガクチカのPRに困らないようにするために、学生時代にしておくべきことをお伝えしようと思います。
ガクチカを聞くことで、企業は何を知りたいの?
対策を講じるためには、まずは敵を知る必要があります。
ガクチカが定番の質問であるということは、企業にとってこの質問がある程度選考の役に立っているということです。一体どういうところを見ているのでしょうか?
企業によって見るポイントも、どれだけの重みをもたせているかも異なります。しかし、だいたいの大枠としては次のようなポイントが挙げられます。
1.その人の強みは何か?入社後にどんな活躍が期待できるか?
入社後の人事評価や、転職の面接であれば、具体的な仕事の成果をもとに話をし、得意不得意や成長の度合いなどを測ることができます。
営業職や販売職であれば、売上や顧客数、リピート率などの数字や、売るためにどんな活動や工夫をしているか、などですね。
業界や企業ごとに細かいやり方の違いがあったとしても、「仕事の成果」をある程度の「共通言語」としてお互いにイメージをすり合わせながら話ができ、そこからその人の能力を予想することができます。
しかし、新卒採用の場合は、この共通言語がありません。
「あなたの強みはなんですか?」という質問をする企業もありますが、この質問だけでは根拠がわかりませんし、本当にそれが強みなのかどうかもわかりません。
いい評価がもらえるような嘘をついているのかもしれないし、それが強みだと思っているのは自分だけかもしれません。
そこで、ガクチカとして具体的なエピソードを聞きつつ、そこから強みや適性に話を広げていくのです。
入社後の期待値を予想する材料を集めるための、ひとつの切り口なのです。
2.物事に取り組むスタンス、価値観を知る
ガクチカのエピソードから、その人が物事に取り組む姿勢も垣間見えます。
例えば、何かうまくいかないことがあった時に、その方法をさっと諦めて別の方法を探す人もいれば、今の方法の精度を上げるために動く人もいます。
自分の力で事態を好転させようとする人もいれば、まずは頼れる人を探して助けを求める人もいます。
これは、どちらがいい・悪い、デキる・デキないということではありません。
シチュエーションや価値観次第で、どちらも正解にも不正解にもなりうることですよね。
具体的なガクチカエピソードの中で聞くことで、その人の考え方、価値観が、その企業との相性がいいのかを判断する材料になります。
3.成果に至るプロセスが妥当かどうか
入社年次が若くても、プロジェクトマネージャーのような責任あるポストを任せるような企業では、こういった部分も見ていることがあります。
目標や目的を達成するために、妥当な行動ができる人なのか?失敗した時にリカバーできる人なのか?実際に成果を上げられたのか?成果が出なかったなら、それをどう反省しているのか?
ガクチカエピソードから、実際の仕事の中で必要とされる考え方、行動力などを備えているかどうか、備えられる可能性があるかどうかを判断したいのです。
就活はまだ先のこと…でも、今からできることがある
就活を始めたら、1回はどこかで聞かれる可能性が高いガクチカ。
あなたは今までの学生生活で、何かPRできそうなエピソードはありますか?
就活はまだまだ先のことだとしても、いざその時になって焦らないように、日頃からやっておくといいことがあります。
人は忘れる生き物だから…記憶より記録に頼ろう
日記やブログを書く、手帳などにメモしておくなど、やり方はなんでも構いません。毎日じゃなくても大丈夫。
でも、「ある程度の頻度で更新できて」、「続けられて」、「後から見返せる」ところに記録を残しておくようにしましょう。
何事も、その渦中にある時は細かいこともひとつひとつ覚えていられて、印象も鮮烈です。
しかし、それが落ち着いて、「過去のできごと」になった途端、どんどん忘れていくもの。どんなに頑張って、力を入れたことであっても、です。
覚えておきたいこと、後から見返したいことは記憶だけに頼らず、バックアップもとっておきましょう。
自分の心のうごきを無視しない
学生時代は、勉強や部活動、サークル活動、アルバイト、ボランティア活動、留学や旅行、その他にも自分の興味が向くままに様々な経験ができる時期。
やりたいことやわくわくすること、楽しいことがたくさんあると思います。
でも、中には嫌々ながらやらなくてはならないこと、気乗りしないけど仕方なくやっていることもありますよね。
こういった、自分の心のうごきを無視しないようにしましょう。
とはいえ、単純に、「嫌なことはするな」「やりたいことだけやれ」ということではありません。
嫌なことでもやらなければならないシチュエーションは、ゼロにしようとしてもなかなか難しいですしね。
ただ、自分がどんなことにわくわくするのか、どんなことは気乗りしないのか、それを観察して記録しておくことは、自分の価値観を知るための材料集めになります。
自分の価値観がわかってくると、自分の強みにも自信をもてるようになります。気乗りしないことを楽しむための工夫もできるようになってきますよ。
他者の評価を受けに行こう
どんな活動でも、どこかの段階で誰か他の人からの評価を得られる機会を作りましょう。
研究活動なら先生や先輩、学会などで他大学の人からもコメントをもらうことができます。
部活動やサークル活動なら、先輩、同期の仲間、後輩、試合やイベントで会う外部の人とも接する機会があるでしょう。
アルバイトだったら社員さんや同僚、お客様。インターンやOB、OG訪問で出会った人に話してみたり、SNSで何かを発信して、反響を得るという手もあります。
自分の活動に対して客観的な意見をもらうことは、活動の精度を高めていくために大切なことです。
また、世代やバックグラウンドの違いによる見え方の違い、認識の違いに気づくきっかけにもなります。
自分だけ、仲間内だけで取り組んでいると、ついつい視野が固定化され、自分たちの常識が当たり前のことのように思えてきます。
しかし、外の人からすれば、「なぜそんなことをしているの?」、「なぜこれをやらないの?」といったポイントがあるはずなんです。
就活でガクチカをPRする場合、面接官はどちらかというと外部の人の立場に近いですよね。
仲間内で当たり前に使っていた言葉が通じなかったり、前提条件が共有できなかったりすることも珍しくありません。
エピソードを話した後に面接官から質問をされることがありますが、他者から評価を受けておくと面接官からの質問にも答えやすくなるはず。
自分の経験を人に見せて意見をもらうことで、その経験をより深く理解できるようになります。
「ガクチカのために」経験を積む必要はない
就活でPRする、と考えると、起業したり、世界一周したり、何か賞を取ったり、優勝したり、ついつい派手なエピソードじゃないといけないように思う人もいるかもしれません。
でも、普通に学業を頑張って、部活やサークル活動に取り組んで、アルバイトをして…、そんな毎日じゃPRできることなんてない、なんて落ち込まないでください!
別に、派手なエピソードじゃなくても、あなたが本当に力を入れて頑張って取り組んだことなら大丈夫。
就活まで間があるのなら、なおさら「ガクチカのために」なんて気負う必要はありません。
今はただ、その時々で考えたこと、行動したこと、得られた結果、人からもらった意見など、貴重な経験をしっかりと残しておけば大丈夫。
あなたの経験はあなただけのもので、だからこそあなたの強みや価値観をPRできるものになるんです。