Vol.1 専攻分野を活かせる仕事を探すにはどうしたらいい⁈


専攻分野へのこだわりが落とし穴⁈


就活中、これから就活を始める皆さん、初めまして。鈴木あきこです。

 

理系の皆さん、女性の皆さんの先輩として、そして、人事・採用業界の経験者として、お役に立てるアドバイスができればいいなと思っています。

 

今回お話したいのは、専攻を活かした就職を目指す人に気を付けてもらいたいことについて。

 

理系の勉強をしてきた方は、「専攻を活かせる仕事に就きたい」と考える方が多いのではないでしょうか。これを、安易だと言いたい訳ではありません。長い間勉強してきたこと、興味を持って取り組んできたことを活かしたいと思うのは当然のことです。

 

しかし、専攻分野や研究テーマと100%合致したことをやりたい、関連した業界じゃないと嫌だと思っている人は要注意!

何を隠そう、私はそれで失敗を経験しています。

 


「専攻分野を活かして仕事をする」ってどういうこと?


私は学生時代、簡単に言うと「微生物が生成する成分の分析」に取り組んでいました。同じような研究ができる職場を探そうと、就職活動を開始当初は、医薬品・化粧品・食品業界のメーカーの研究開発職に絞って活動していました。

しかし、ただでさえ人気の業界であることに加え、「微生物の培養ができます」「機器分析が得意です」という学生は山ほどいます。幸運にも数社は最終面接まで呼んでもらえたものの全滅、化学・素材メーカーにも広げてトライしてみても同様の結果で、気付いた時には研究開発職の募集期間は終わっていました。

他の業種を考えもせず、調べてすらいなかった私は途方に暮れ、しばらく就活にも修論研究にも身が入らなくなってしまったのです…

 

私は、企業がどんな人材を求めているのかが分かっていませんでした。企業にとって、研究開発を含むすべての活動は、利益を生むためのものです。

そのために必要な人材として、特に新卒では、専門性よりも基礎力を重視し、いくつかのポジションで応用が利きそうな人材が求められる傾向が強いのです。

そしてさらに、企業に就職し、専攻分野や研究経験を活かすということを、これまでの研究の続きができることだと勘違いもしていました。

本当は、学生時代に身につけた知識や技術、思考能力などを発展させて、社会のニーズに応えることが、「専攻分野を活かして仕事をする」ということなのです。

 

それを理解していれば、専攻分野とかけ離れて見える業界、企業にも目を向けることができたのに、と反省しました。

 


「教科」や「商品」のイメージを超えて、業界・企業を探してみよう!


「そんなことを言われても、自分の専攻分野や研究経験が、どんな業界や企業で、どう役に立つのかわからない」という人もいるかもしれませんね。

 

そんな人には、研究活動の自己分析をオススメしたいと思います。

皆さんの中には、すでに熱心に自己分析をしている人も多いのではないでしょうか。その際に、研究活動についても、しっかりと振り返っていますか?これまでの人生全般、アルバイトやサークル活動のことばかりになっていませんか?

研究活動において、興味関心の軸になってきたことは何か、工夫したことは何か、失敗したり挫折したりした時にどうしたか。

項目ごとに経験を書き出すものや、時系列でイベントとモチベーションの変化を記入するものなど、自己分析フォーマットを転用することもできます。

知識、思考能力、実験技術、データや情報の扱い方、根性やモチベーションコントロールの方法など…研究活動を通じて身につけたことをしっかりと把握し、その上でなるべく多くの業界や企業と関連づけてみましょう。

 

自己分析シート

研究活動のモチベーションの上下をプロットし、そこから自身の興味関心を掘り下げる。

自己分析シート

研究活動を通じて身につけたことと、業界、企業、仕事を関連付ける。就職活動開始前だけでなく、説明会参加後、面接参加後など、何度かやってみると志望が明確になったり、軌道修正ができたりするため、役立ちやすい。

 

工業製品メーカーでバイオ技術の研究を応用することもありますし、医薬品メーカーでは薬学、化学、生物だけでなく、情報処理や統計の知識も必要とされます。日常生活やメディアで接することのない業界、企業もたくさんあります。

 

特に、BtoB(Business to Business)と言われる、企業に対して製品やサービスを提供する会社は、日常生活で社名を目にする機会は少ないですが、このような企業の方が数は多く、名前も知らない会社なのに世界シェア1位、ということも少なくありません。

 

社会には、学術的な専攻の範囲を超えて、知見や技術を応用・転用することで価値を生み出す企業がたくさんあります。

 

固定観念にとらわれず、ご自身の経験が活かせる仕事がどの業界、企業にあるのか、広い視野で探してみてください。

 

参考:株式会社ディスコ キャリタスリサーチ 2017年卒採用マーケットの分析
―就職・採用戦線総括― 16ページ「参考データ②理工系学生の採用」
http://www.disc.co.jp/uploads/2016/11/2016.12_bunseki2017.pdf

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