今回のコラムは、志望企業がブラック企業かそうでないか確認する方法について説明します。
インターネットの就活掲示板サイトには、ブラック企業の噂話が膨大にあります。ほとんどが匿名情報であって信頼性に欠けるものです。
一部の人の主観や憶測が書かれていたり、企業の就活人気を落とすために嘘が書かれていたり、採用試験に落ちた人が腹いせに嘘を書いていることもあります。
重要なのは、ブラック企業という噂話に惑わされるのではなく、自分の職業観に合った企業かどうかを自分自身で確認することです。
ブラック企業の一般的な定義を紹介します
- 労働法などに抵触する労働を従業員に強いている
- 関係諸法に抵触する営業行為を強いている
- 従業員の健康を無視した極端な長時間労働を従業員に強いている
- 過酷なノルマがある。ノルマが未達成の場合は過大なペナルティがある
- 長時間のサービス労働(サービス残業・休日出勤)が常態化している
- パワーハラスメントやセクシャルハラスメントが黙認、常態化されている
- 上意下達と絶対服従が徹底化された組織になっている
- 仕事の経費(備品代・交通費・出張経費・制服代など)の自己負担が極めて多い
- 大量採用して、1年で1割~3割の新入社員が残れば良いという方針がとられている
ブラック企業に入社しないための確認方法➡10の質問
ブラック企業かどうかは、掲示板サイトや企業サイトを見ただけでは判断がつきません。会社説明会に参加しても、(マイナスのことは言わないので)ただ聞いているだけでは、優良企業だと錯覚する場合があります。
大切なのは、説明会や店舗見学、会社訪問の際に社員に直接質問することです。効果的な質問は10あります。これらの質問をしていくと、ブラック企業かどうか、自分の職業観に合っている企業かどうかを判断できる情報が得られます。
- 「御社で活躍する社員になるためには、どんな力を身に付ける必要がありますか?」
- 「御社に入社するとしたら、どんな厳しさを覚悟しておくべきですか?」
- 「仕事を辞めたいと思ったことはありますか? どんな努力で克服しましたか?」
- 「1年間で新入社員の何割が辞めていますか? 3年間では何割ですか?」
- 「御社を入社3年以内に辞める人は、どんな人ですか?どんな理由で辞めますか?」
- 「社員の平均勤続年数は何年くらいですか?」
- 「残業や休日出勤は、多い月でどのくらいありますか?」
- 「仕事の達成目標(ノルマ)を具体的に教えてください。毎月の達成目標、毎日の達成目標など」
- 「新入社員が厳しく感じる達成目標(ノルマ)はありますか?」
- 「達成目標(ノルマ)が達成できなかったときは、どんなペナルティがありますか?」
10の質問の解説
1~3の質問のメリットと注意点
仕事に対する前向きな姿勢が感じられる質問なので、とても聞きやすいです。掘り下げ質問をして具体的な事例を聞くと、判断に大きく役立ちます。
注意点は、社会人1年目~3年目くらいは、初めて経験する仕事ばかりなので、厳しく感じるのが普通であることです。その厳しさを乗り越えるところに、自己成長や達成感の喜びがあります。
重要なのは、自分のなりたい社会人像、キャリア計画、自分の職業観に合致しているかどうかを掘り下げ質問をしながら確認することです。学生目線では、仕事が厳しく思えてブラック企業に感じられても、社会人にとっては当たり前のことでブラック企業ではない場合もあります。仕事の中身、それを達成することによって得られるやりがいを聞きだすことが大切です。
4~7の質問のメリットと注意点
相手(社員)と会話が弾んでからする質問です。客観的な数値を確認できるので、判断に大きく役立ちます。
注意点は、退職率が高くてもブラック企業とは限らないことです。
重要なのは、退職率の高さよりも退職理由です。こちらを掘り下げて聞きましょう。自分にはむしろ歓迎すべき場合もあるのです。
たとえば、退職率が高い企業でも、仕事で大きく成長していて、かつ退職理由が前向きである(ステップアップの転職をしている人が多い)ため、一般的にブラック企業とは言われていない企業は数多いです。
8~10の質問のメリットと注意点
相手(社員)と会話が弾んでからする質問です。ノルマは通常は、達成目標と呼ばれています。掘り下げ質問をして具体的な事例を聞き出せば、仕事の実態がよくわかります。
注意点は、達成目標(ノルマ)がない仕事は存在しないということです。どんな仕事でも達成目標があります。しかも、努力をしないと達成できないレベルが設定されるのが普通です。
達成目標には自分の能力を引き上げる成長要因という側面もあり、重要なのは、自分の成長にとって歓迎すべきものかどうかということです。
自分だけで判断がつかない場合は
ブラック企業かどうかを自分ではどうしても判断ができない場合は、大学のキャリアセンターに相談することをお勧めします。歴代の卒業生や関係諸機関から情報を収集していることが多いです。