4月からの新生活にもだいぶ慣れ、新しい人間関係も落ち着いてきた頃でしょうか。はじめのうちは緊張感があった間柄でも、徐々にお互いに本性が見え始めてくるかもしれませんね。
学生さんだけでなく、新入社員や新しい職場に転勤した人なども、人間関係の悩みが出てくる時期。新社会人向けの研修などで話すことが多いアドバイスをもとに、誰もが一度は直面する人間関係の悩み、友達付き合いについて、考えてみたいと思います。
広く浅く、も悪くない
人間関係の築き方、友達のつくり方が変わるかも
高校時代までの人間関係は、大学時代以降に比べると狭いことが多いです。学校のクラス、部活動、塾や習い事、中学校時代以前の友達などが主だと思います。それぞれのコミュニティで過ごす時間も期間も長いし、決められた行事、イベントごともあって、特に自分からアクションを起こさなくても、友達ができやすい環境だと言えます。
しかし、大学生になると事情が変わります。部活やサークルでは飲み会や試合、旅行などのイベントがありますが、クラスやバイト先では誰かが企画しないと何もないし、ある程度知り合いになっておかないと誘ってもらえない。ある授業だけで会う人などは、自分から話しかけにいかないと名前も知らないまま、ということも珍しくありません。自分からアクションを起こし、友達をつくるのが苦痛ではない人はいいのですが、それが苦手、どうしたらいいかわからない、という人には辛い環境かもしれませんね。
広く浅い関係をつくることに振り切る時期があってもいい
いつも一緒にいたいと思えるような友達には、誰とでもなれる訳ではありません。関わるコミュニティが増えると、ひとつのコミュニティあたりにかける時間も減り、深い仲の友達をつくるのはさらに難しくなるかもしれません。そんな時は、それぞれのコミュニティで、まずは広く浅く、その場で過ごしやすいような人間関係を築くことを目指してみるのも手です。
隣の席になった人に挨拶をしてみる、授業でわからなかったところやバイト先で習ったことを確認してみる、お菓子を勧めてみる…そんな小さな接点を、多くの人と持ってみるのです。そうしているうちに、気が合いそうな人が見つかったり、相手からも声をかけられたり、関係が発展しそうな人が出てきたら、より深い仲になれるように動けばいいんです。
人間関係が広く浅い、その場限りの関係、などというと、あまりいいイメージがないかもしれません。しかし、どんなに仲のいい親友だって、最初は知らない人。候補のまま疎遠になってしまうかもしれないけれど、親友候補をたくさんつくってみるんだ、と思えば、抵抗感も減るのではないでしょうか。広く浅い関係も、悪いことじゃないんです。
人の目は、こわがり過ぎずにうまく使おう
人間関係が広がると、合わない人が出てくるのは当たり前
大学生になると、様々な地域から様々なバックグラウンドをもつ学生が集まります。アルバイト先には他大生、大学生でない人もいますし、今まで接することのなかった年齢層の人と接する機会も増えます。そんな人たちの価値観は様々で、今までは通用していたことが通用しなくなったり、逆にたいしたことないと思っていたことが褒められたり…他人が自分を見る目が変わることに戸惑うことも、時に傷つくこともあると思います。ソリが合わない人、近づきたいと思えない人が出てくることもあるでしょう。人の目がこわくなってしまうこともあるかもしれません。
でも、ちょっと考えてみてください。冷たい態度をとってきた人や批判してきた人は、あなたのことをどれ程知っているのでしょうか?逆に、あなたもよく知らない人を、たまたま見かけた瞬間のことだけで判断していませんか?よほど深い仲の相手ならまだしも、初対面やそれに近いような人が言うことに、どれだけ信ぴょう性がありますか?人は、よく知らない人ほど、気軽に批判や心ないことを言いがちなもの。的外れなことを言われても、真に受ける必要はありません。
都合の悪い意見、傷つくだけの態度は、真に受けなくてもいい
人の目や人の意見を、どのように受け止めるかは自分が決めていいことです。褒めてくれ、認めてくれる人の意見は自信になります。困っていること、気になっていることへのアドバイスは指針になります。一見厳しく感じる言葉も、自分のためになると思えば糧になります。自分にとってプラスになると思えることをうまく使い、成長の養分にしちゃいましょう。
しかし、ただただ傷つくだけ、嫌な気持ちになるだけのことは、受け流してしまってもいいんです。自分に都合の悪いことを受け流すのはよくないことのようにも思いますが、受け止められない時に受け止めようとしても消耗するだけ。むしろ、人の目がこわくなって、人との関わりを絶ってしまうことの方がもったいない。時間が経てば受け止められることもあるかもしれません。その時まで放置しておくのも、悪いことではありませんよ。
友達は、少なくてもいい
友達は多い方がいいと言われがちだけど…
保育園や幼稚園、小学校時代から、とかく「友達は多い方がいい」と言われてきた人も多いと思います。社会人の間でも、人脈が広い方がいいとか、知り合いがたくさんいることがステイタスのような価値観をもっている人も少なくありません。
たしかに、仲のいい人がたくさんいると、楽しいこともたくさんあるし、知らなかった世界に接する機会が増えるなど、いいこともたくさんあります。でも、人付き合いに時間を取られて好きなことややりたいことができない、関係を維持するために飲み会やイベントに参加しなければならず、金銭的なコストもかかる、など、人間関係が広いことのデメリットも、実際のところあります。
友達は、数より質も大切
一言で「友達」と言っても、関係の深さ、種類には幅があります。人と一緒にいたい時期、ひとりで過ごしたい時期など、タイミングによって人付き合いの密度にも差があるのも、おかしいことではありません。常に、たくさんの友達がいることが、誰にとっても必ずしもいいことではないのです。
たくさんの人と仲良くなりたい、友達になりたいのであれば、それが叶うように努力する必要があるかもしれませんが、そうでないなら心配はいりません。今、もし友達が少なくても、引け目に感じる必要はないと思います。限られた人と、丁寧に人間関係を築いていくことも、とても大切で尊いこと。友達の数を競うより、お互いに心地よい人間関係を築き、大切にすることの方が、人生を豊かにするのではないでしょうか。