こんにちは、鈴木あきこです。
前回は、リーダーシップとは、組織の目標達成のために動くことであり、自分で考えて判断し、行動し、責任を持つことだ、というお話をしました。
そして、リーダーシップは理系の研究室生活で学べる、とも。
今回は、研究室生活におけるリーダーシップのトレーニングのご紹介、その2。
マッキンゼーの採用マネージャーを12年務めた、伊賀泰代さんの著書「採用基準(ダイヤモンド社)」より、マッキンゼー流リーダーシップの学び方を引用しつつ、研究室生活での活用を考えていきます。
自分の仕事のリーダーは自分
「自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネージャーを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのがあなたの仕事だ。という意味です。
研究室で取り組むテーマは、必ずしもあなたが自発的に考えたテーマではないかもしれません。先輩から引き継ぐ場合、先生のテーマの一部を担当する場合もあるでしょう。それでも、あなたの担当するテーマは、あなたがリーダーとなって進めましょう。先生や先輩とディスカッションしてもらう日時を決めてお願いしたり、実験手法を教えてもらうタイミングを自分から依頼したりするのもその第一歩です。
研究を進めるために必要なことをリストアップして、周囲の協力も仰ぎながらひとつひとつクリアし、結果につなげるということは、リーダーシップを発揮するということに他ならないのです。
ホワイトボードの前に立つ
ホワイトボードの前に立って議論のリーダーシップをとるには、会議の参加者が発する意見を全体の中で捉え、論点を整理して議論のポイントを明確にしたり、膠着した議論を前に進めるために視点を転換したりと、さまざまなスキルが求められます。
議論のリーダーシップをとるということです。参加者の意見をまとめてホワイトボードに書き、どのポイントの議論を深めるか、あるいは広げるかをコントロールします。前回の記事で述べたゼミの場面はもちろん、学会の運営手伝いをするとき、研究室でお花見やバーベキューなどのイベントを企画する際にも必要かもしれません。限られた話合いの時間内に、確認すべきことを確認し、決めるべきことを決める、それを取り仕切るということは、テーマの大小に関わらず経験してみるべきだと思います。就職活動におけるグループワークは、まさにこの観点からリーダーシップや他者との関わり方を見ています。進行役を一度やってみると、どんな意見の出し方、進め方が適切なのか、あるいは迷惑なのかもわかるはずです。
学生時代の経験を将来の役に立たせるために
学生さんから「学生時代の研究は、将来の役に立つのか?」という質問をいただくことがあります。たしかに、個別の知識や実験手法は、テーマや分野が変われば役に立たないかもしれません。
しかし、自分のテーマをもって研究を進めるという経験、研究室のメンバーと一緒に勉強やイベントをするという経験は、社会人として仕事を進めていく上で必要なスキルを学ぶ機会で満ちていて、リーダーシップもそのひとつ。ただ、漫然と過ごしているだけでは、そのような機会が目の前にあることに気づけません。
今回は、「リーダーシップを身につける」という観点から研究室生活を考えてみました。その他のことに関しても、将来の役に立つようなことを学生生活の中で身につけるために、どうしたらいいかを考えてみるといいかもしれませんね。