第8回 実は素晴らしい!?日本の就活 ~その⑤~

 就職コンサルタント福島直樹です。

・前回学んだこと→新卒採用の前提として、終身雇用、年功序列が日本に存在すること、しかしこのような日本的雇用システムはたかだか数十年の歴史しかないこと。

・今回学ぶこと→新卒採用と終身雇用、年功序列の関係ってどうなっているの?

 

  日本的雇用システムとして、終身雇用、年功序列、企業内組合がよく言われます。しかしその背後には新卒採用という独特の仕組みがあり、またその根本には、メンバーシップ型雇用という目に見えない慣行があると言われています(濱口桂一郎「若者と労働」(中公新書)、田中博秀「現代雇用論」(日本労働協会)を参照)。

 メンバーシップ型雇用とは聞きなれない言葉ですね。いったい何でしょうか?

 

メンバーシップ型(日本)とジョブ型(海外)

  日本の学生が就職する時、職務、つまり仕事内容を決めない状態で採用されます。自分が営業になるのか、人事になるのか、一部の例外を除いて配属式までわかりません。職務=ジョブを限定せず、まずはメンバーとして受け入れるという考え方。これがメンバーシップ型雇用です。

 多くの企業では、入社後に研修、OJTを経て新入社員がスキルアップしていく仕組みが用意されています。

一方、海外では営業、マーケティング、経理など職務=ジョブを限定した雇用が中心となります。これをジョブ型雇用と言います。

 

新卒者にとってジョブ型はシビアである

ジョブ型の場合、新卒者より経験者(社会人)の方が有利になります。会計について多少勉強した学生より、「経理を現場で5年経験しました」という社会人の方が採用されるに決まっていますよね。ちなみに海外では日本企業のような研修など社内育成の仕組みは存在しないことが多いのです。

 海外の学生が長期間インターンシップに行かざるを得ない理由の1つは、ジョブ型雇用ゆえ仕事=ジョブの経験を積む必要があること。2つ目は、研修などの社内育成の仕組みがないため、自分自身でスキルアップしておく必要があるからです。

 新卒者にとってジョブ型は非常にシビアであることがわかります。

 

メンバーシップ型だから未経験の新卒学生が積極的に採用される

 そんなジョブ型と違い、メンバーシップ型では、職務が未定ですし、社内育成の仕組みがあるため、新卒学生が不利になりません。というかむしろ有利です。

 中途採用の場合、例えば「営業経験を活かしたい」と考える社会人が多いため、「営業職として採用してほしい」という希望が多くなります。つまり中途採用では職務が未定では都合が悪いのです。

 一方、新卒では業務未経験ゆえ、さほど強い希望が出てきません。よって新卒学生とメンバーシップ型は非常に相性がよいのです。みなさんがスムーズに就職できる理由、日本の若者の失業率が低い理由がわかりましたね。(今日説明したことを表①にまとめました。参考にしてください)

 

 みなさん学生にとって非常にメリットのあるメンバーシップ型雇用。ところが問題点がないわけではありません。それを次回、説明します。お楽しみに。

 

図①日本と外国の若者の雇用の違い(主に正規雇用の総合職)

 

雇用期間

賃金形態

組合形態

日本

終身雇用

年功序列

企業内組合

海外

終身雇用

なし

同一労働

同一賃金

(成果主義)

職種別組合

 

採用形態

社員教育

雇用形態

日本

新卒採用中心

社内主義

(研修、OJT)

メンバーシップ型雇用

海外

欠員補充、

増員中心

社外主義

(学校、外部機関でスキル獲得)

ジョブ型雇用

*濱口桂一郎「若者と労働」(中公新書)田中博秀「現代雇用論」(日本労働協会)から筆者作成。

 

 

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