就職コンサルタントの福島直樹です。
・前回の内容;学歴フィルターが発動する3つの条件を紹介しました。
・今回の内容:マルクスから考える学歴の使用価値と交換価値を考えます。
マルクスから考える学歴の使用価値と交換価値
前回、私は、理系より文系で学歴フィルターは活用されること、理系は就職に有利でフィルターの効きが弱いと書きました。
理系が就職に強い理由の一つは、文系に比べ専攻が仕事に直接役に立つからです。
大学の偏差値が低くても、しっかり学習、研究をした学生であれば「使える」のです。つまり大学院も含め学習内容が評価されやすいのです。
哲学と機械工学では、当然後者の方がメーカーの仕事で直接役立ちます。つまり使用価値が高いのです(哲学にはまた別の素晴らしい価値がありますが)。
これを学歴の使用価値と交換価値という考え方でみてみましょう。
アダム・スミス、デビッド・リカードの理論をふまえ、カール・マルクスは資本論の中で、商品には使用価値と交換価値があると言いました。
例えば空気は人間に取って必要不可欠なもので使用価値は高いが取引価格は高くありません。私達はスキューバダイビングなど特殊な状況でしかお金を払いません。
つまり空気の使用価値は高いが交換価値は低いと言えます。
一方、ゴールド(金)は実用性はあまりないのですが、宝飾品として高い値段で取引されています。
つまり使用価値は低いのですが、交換価値は抜群に高いと言えます(表2を参照)。
表2 空気とゴールド(金)の使用価値と交換価値
使用価値 |
交換価値 |
|
空気 |
◎ 高い |
△ 低い |
ゴールド(金) |
△ 低い |
◎ 高い |
学歴の価値は文系と理系で違う
これを学歴に当てはめてみましょう。
学歴の使用価値 → 学習、研究が仕事で直接使用できること。
例えば米国Googleではコンピュータサイエンスを学んだスタンフォード大の優秀な新卒者を年収1000万円以上でエンジニアとして採用されています。
まさに学習内容が「使える」=使用価値が高いからこそ成り立つ世界です。海外や理系では基本的にこの世界なのです。
学歴の交換価値 → 学習、研究が仕事に直接役立つか不明だが上位大学に入れる地頭の良さ(学校歴)が採用内定と交換されること。
事務系(文系)総合職においては職務が未定のまま入社することが多いですね。
また日本的雇用システムでは、終身雇用を社員に提供するため、会社都合による人事異動がどうしても必要になります。
つまり人事異動で営業、企画、人事、経理、購買、どこに配属されるか、またどの地域に転勤させられるかわかりません。その時、長期にわたり多様な職種、地域でパフォーマンスを出しそうな人が重宝されます。
それがコミュニケーション力や地頭の良さ(学校歴)なのです。
本当に使えるかどうか、つまり使用価値が高いかは不明だが、大学受験までの学業で成果を出した事実から交換価値が高いと考えられるのです。
今回は日本的雇用システムと学歴の関係を考えてみました。
次回は海外と日本の学歴評価の違いについてみていきましょう。
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